ご挨拶
関東教育オーディオロジー研究協議会会長
東京都立葛飾ろう学校長 姫野 滋子
関東教育オーディオロジー研究協議会は、平成15年春にオーディオロジスト(聴覚専門家)としてのアプローチに加えて、聴覚障害教育における聴覚補償、聴覚管理、聴覚学習及びこれらに関わる教育上の支援を教育オーディオロジーとして確立・発展させることを目的に設立されました。この間、関東地区の聾学校や難聴学級等を中心にネットワークを広げ、教育オーディオロジーの普及と質的向上に貢献してまいりました。
また、年1回開催される講習会は、関東地区のろう学校を会場に、聾学校校長会を始めとし、各研究会等の後援を得ながら進めてまいりました。とりわけ関東地区の聴覚障害教育に関わる関係機関の方々の研修やネットワークづくりにとって貴重な場として位置づいてきています。
令和3年1月には、コロナ禍にあって制約を受けながらも日本教育オーディオロジー研究会の上級講座を主管し、ネット配信という形で多くの方々に研修に参加していただくことができました。
現在、新生児聴覚スクリーニング検査が全国的に普及してきている中、聴覚障害の発見が早まり、より早い時期から聴覚保障がなされるようになりました。また、聴覚を活用しながら通常の幼稚園や保育所、学校等で学ぶ子どもたち、さらには社会で活躍されている成人の方々も多く、聴覚障害児のライフワークを見通しての支援がより重要になってきています。勿論、お子さんのみならず保護者の方々への支援も欠かせないものとなっています。
とりわけ、教育の現場にあっては、子どもたちの障害の多様化と重度化、人工内耳の普及、保護者の方々の様々な価値観への対応等、聴覚障害教育を取り巻く環境は大きく変化しつつあります。
このことにより聾学校はこれまで以上に地域の聴覚支援センターとしての専門性を強く要求され、特別支援学級(難聴学級)や通常の学校、他障害の特別支援学校に在籍する聴覚に障害のある幼児・児童・生徒のため、早期支援、就学支援、就学後の支援など、具体的でより専門的な対応が求められています。
今後は、変わりゆくべきものと、継承し更に発展させていかなければならないものを見極めつつ、聴覚に障害のある子どもたちが生き生きと学習し生活していくために、「聞こえにくい」ことへの最善のサポート体制を構築していく必要があります。
そして、本研究協議会の成果が、各聾学校や難聴学級及び関係機関で役立ち積極的に活用されることを期待するとともに、会員の皆様や講習会に参加された皆様が、これからの特別支援教育のキーパーソンとなって活躍されることを願っています。
結びになりますが、本研究協議会のホームページをご覧いただいた皆様が、一人でも多く本研究協議会の事業に参加され、御理解と御協力をいただけますようお願い申し上げ挨拶といたします。